映画感想 ドラえもん のび太の宇宙英雄記

ネタバレ注意





 リメイクとオリジナルを繰り返す新劇版。
 今回はオリジナルとなるのだが、

「のび太がスーパーヒーローに」
「宇宙」

 宣伝の段階ですでに「宇宙開拓史」を思わせる題材である。
 宇宙開拓も「新」をすでにやっており、
 ちょっとこのかぶり方は……。

「奇跡の島」「秘密博物館」と
 オリジナルでは設定は完璧なのが続いてたのに
 急になんとなく惹かれない設定となってしまった。



「開拓史」のことは意識しているようで、
「別の星に合法的な危機が迫っているため、
 問答無用の力で解決する」というストーリーラインが同じ。
 ゲストがワープを使って偶然助けを求めに来る点も同じと、
 なんとなくリスペクトしたような面がみられる。
 こういうのは嫌いじゃない。
 ただ単に腕力があがっただけのあちらとちがい、
 こちらは全員が特殊能力を使えるようになる。
 という点が明確にちがう。

 でも特殊能力…? ドラえもんで?
 不思議パワーなんてドラえもん1人いればいいんじゃ……。



 導入からして
「のび太があやとりで小さい子たちに人気」
「ドラえもん他全メンバーがヒーロー番組に夢中」という
 これまで35年の歴史でなかった設定が当然のように出てくる

 のび太の設定がいじられて「ヒーローに夢中」になるのはいいとして、
 スネ夫までヒーロー番組に夢中で
 それに似た自作映画を撮っているというあまり見ない展開。
 さらにドラえもんまでこのヒーロー番組が好きだという設定は
 普段のドラえもんのイメージから外れるのでさすがに微妙。

 別に『一向がヒーロー番組にハマってる』なんて前提にしなくても
 学校の宿題なりなんなりで
『みんながヒーロー映画を撮る』と前提を立てておけば、
 その後
『ヒーロー映画なんて子供じゃないんだから』と前置きしつつも
 ジャイアンあたりを皮切りに「でも主役はやりたい」と言いだし、
 最後にはドラえもんも「実は僕も主役がやりたい」――。
 という流れでよかった。


 本作は「スーパーヒーロー」が主題になっているため
 ヒーローを話に絡めるのはいいのだが、
 あくまで慣れ親しんだ設定を使ってほしいところ。
 冒頭はあくまで「日常」→「映画の世界」に導く自然さがなくては。

 この設定が今後ストーリーにどう関わるのかで
 いきなり本作の出来が決まる。
 ものすごーくリスキーな冒頭だと思う。

 とまあ、最近調子のよかったオリジナル系にしては
 開始20分くらいで残念さの漂う本作だが……。


 その後はまあまあ面白くなっていく。
「道具の力で労せずヒーローになれる」
 という、ドラえもんらしい都合がよくて気持ちいい話の流れ。
 ドラえもんの基本は
「筋の通った話と、その筋をぶっ壊すチートドラえもん」だと思う。
 その意味でめちゃくちゃな道具が
 都合のいい世界を作ってくれるのは、
 大人になって見るとそれだけでニヤリと出来る。
 ……「スピルバーガー」って最近の子はスピルバーグ知ってるのかな?


 秘密道具によって各員の特技が目覚める。
 ジャイアンは怪力、スネ夫はツール、
 しずかちゃんは水、のび太はあやとり。
 そして映画の撮影と勘違いしたままロップル星へ。
 なかなか楽しい強引さのストーリーラインである。
 このとき、ゲストの人間性を見て、即座に順応するのび太も、
 のび太らしさを損なわないまま有能化していて上手い。

 最初心配した「作品世界への移行」は
 この時点で上手い具合に果たされている。
 設定はともかく、話のつくりが上手い作品である。
 ちょっと冒険感がないものの、その分、就寝や食事など
 みんなでのキャンプパートに時間が割かれており良い。
 なんとなくだけどこの本、
「昔ドラえもんでわくわくした人」が書いてる気がする。


 敵は「無能な部下をガチで殺す」という
 仮面ライダー的なガチ悪。
 こういうのは珍しい。
 サンダーバードネタの出撃シーンはちょっとやりすぎかな……。

 一応ピンチには陥るが、
 スピルバーガー監督が次々ととんでもないチート能力を発揮して
 さほど苦労せず話は進む。
 敵がガチ勢なためみんなほどほどにピンチになり
 緊張感も途切れないため
 楽勝で打開する流れは気持ちがよくていい。
 まあ少々チートすぎる気もするが、
 この監督はドラえもんの道具だからよしとしよう。


 幸いというかバーガー監督のチート力は
「しずかちゃんに惚れたから」という理由で
 最終決戦には不参加。
 1人1人がうまい具合に活躍してくれる。
 使い方を分かってないあやとり技を連発するのび太は
 ちょっといらいらさせられるが、
 のび太は無能が仕事か。


 最後は途中分かりやすく伏線をはられた
 バーガー監督の機能で問題解決。
 ここはちょっと強引過ぎた気がする。
 一気に駆け抜けた感じなので、とくに必要でもなかったような。

 総評としては、「ストーリー」が秀逸な作品。
 むちゃくちゃな設定、進行を、
 しっかりとまとめあげた本の優秀さが際立つ印象である。
 なんていうか、ドラえもんでなく
 クレヨンしんちゃん劇場版っぽい印象が強い。


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