映画感想 ドラえもん のび太の新鉄人兵団

ネタバレ注意


≪ネタバレ注意! のび太の新鉄人兵団≫




 リメイクドラ第3弾。
 鉄人兵団といえば、旧作のなかでも
 5本の指に入るほどの人気作である。
 ここでこのカードを切るか……。


 今回も声優陣は、洋画吹き替えで有名なところが揃う。
 リルル役は、アニメでも有名なのかな?
 ルパンの新不二子役をやってる沢城みゆきさん。
 ピッポ役は、洋画で生意気なクソガキ役といえば、な小林由美子さん。
 アニメだとなんだろ、ぷにぷにポエミィとか知ってる人いるんかいな。

 そしてなによりも、ゲストの声優が意外とハマっている。
 本編と関係なしに出てくる福山雅治さんは、いつものお芝居と同じで
 まあ「福山雅治」以外何者でもない演技だが(本人役で出てるのでそれが正解)
 敵の司令官を、最近はほぼキャスター一色のお笑い芸人、
 加藤浩二さんが演じている。
 これが上手い。
 凶暴そうでなんか昆虫の羽音的なガラガラ感の声質が嫌な感じで、
 今回の司令官にぴったりな声と演じ方である。



 さて作品としての評価。
 本作の魅力は7割強がゲストキャラ、リルルにあると言ってよい。
 この謎の少女をどれだけ謎めいて、かつ魅力的に描けるか。
 ここだけにかかっている。

 その点では本作は、正直いって微妙という評価に回る。
 リルルが原作の魅力を失っているのである。

 表情や動きが大げさすぎるというのは
 絵柄の変遷によるものだから仕方ないにしろ、
 声の演技そのものもかなり気になる。
 声優さんの演技等含め、今回のリルルは序盤無感情さが目立ち、
 後半から感情が芽生えてくる描写がされている。
 つまり「ロボットが人間に近づいていく」表現がされている。

 これがまずちがう。
 リルルは終始一貫して機械として描かれるからこそ
「悪のロボットが人類を思いやる」=
「じゃあ人間はロボットを思いやれるか」という話になるのである。
 ロボットが人間になってしまってはいけない。

 まあようするに前作のリルルは演出や声優さんの演技が上手くなく
 あまり変化を見せられなかったというだけなのだろうが、
 それがリルルの魅力でもあった。
 技術が進歩した分、魅力が減る。
 CG技術が向上しすぎて逆に現実感を失ってしまった
 ホラー映画界にも似たもどかしさである。


 リルルのキャラクターが崩れたため、
 原作の魅力にもいろいろとボロが出てしまっている。
 原作は、リルルを含め基本的になんとなく怖い。
 端々に「機械たちの怖さ」が描かれており、
 それが終盤の展開と結びついてくるのに。
 今回の機械たちはみな生き生きとしており、
 ドラえもんと同じ「機械にも心がある」が前面に出過ぎなのである。

 まあこの怖さというのは、
 児童向けではないと判断されたのだろう。
 カットされたのもやむなしか。


 今回は最初から、リルルもザンダクロスも
「人類に敵対するゲストキャラ」として描かれている。
 リルルは感情豊かだし、ひたすら可愛く描かれている。
 ザンダクロスには「ピッポ」という人格が生まれ、
 さらに可愛いひよこの姿になってしまう。

 このため見た目からして最初から
「最後は味方になる」ことが分かってしまうのはちょっと微妙。
 これではリルルはただの「謎の少女」、ザンダクロスはツンデレである。
 分かりやすいキャラ付けになっているとも言えるが、
 やはり作品の魅力である「機械と人間」という点は損なわれている。

 まあこれは僕の旧作派から見た「鉄人兵団」感であり、
 この「新」の方から見た人には
「可愛い無感情キャラ」と映るかもしれない。


 では作品としてつまらないか。
 といえば否。
 可愛い無感情キャラ+ツンデレがゲストの
 機械戦争もの。としてみれば確実に面白い。
 恐竜とおなじく「リメイクとして×、新作として○」
 である。
 いや「リメイクとして△、新作として◎」か。
 非常によく出来ている。
「機械にも心がある」が打ち出されているため、
 旧ドラでいうなら「ロボット王国」のパワーアップ版といった感じ。

 ストーリーのリメイクも上手い。
「海底鬼岩城」のバギーを知らなければほぼ価値のないミクランを削り、
 代わりに「ザンダクロスと仲良くなっていく」というストーリーを追加。
 原作でのザンダクロスは「人工知能を書き換える」という
 完全な洗脳(頭にドリルで穴をあけていた)で味方にしていたので、
 この点は映画としてドラマチックになっている。

 まあそのせいで、どちらかというとピッポが主役になり、
 リルルの印象が薄い。
 その割にストーリーラインは原作をなぞっているため
 最後にはピッポは戦い抜いたあげく特に何もできず消滅という
 ドラマに穴が出来てしまったのでプラマイ0か。

 ピッポは「友情で寝返る敵の機械」として理想的な立ち回りであり、
 だからこそ原作ではその最大の盛り上がり場所だった
 リルルの最後の行動を食ってしまう上、
 リルルとちがって「人間世界の映し鏡」ではないため、
 原作にあったテーマ性を濁らせてしまっている。


 この作りなら、リメイクとして許されることではないながら
 リルルはもう存在そのものを削って
 ピッポに全振りするべきだった気がする。
 もしくはリルルはザンダクロスと精神を共有しているとかの設定にして
 リルル=ピッポにするとか。

 まあここは個人の好き好きだろう。
「恐竜」と同じ、リメイクとしては微妙なだけで、
 ピッポの存在でよりドラマ性の増した今回の方が
 新作としては単純に面白くなっているとは思う。


 恐竜、魔界、開拓史に比べて
 リメイクとしての無駄を省き、だいぶ洗練されてきた印象。
 ただその分、宇宙開拓と同じくパワー不足。といったところか。
 どんどん良くなってきているだけに、
 あと最後の一歩を踏み切って欲しいところ。


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