映画感想 ドラえもん のび太の人魚大海戦

ネタバレ注意


 ドラえもん映画30周年。

 一応原作はあるようだが、
 藤子先生の原作から抜けてまたオリジナルに戻ってきた。
 やはりリメイクやリメイクキャラを出すより
 劇場版ではがっつり新作をやってほしいところである。

 まだディズニー病は続いているが、
 無駄な動作はちょっとずつ減ってきている。
 ドラえもんの顔芸が邪魔なくらいか。


 スネ夫の例のアレで
 海中水泳がしてみたいというのび太のわがままから始まる。
 街を海に沈める道具が出てきて、
 街中を海にしてみたところ、人魚がやってきた。

 ポンプのスイッチを押しただけで
 劇場版恒例メチャクチャにされる部屋。
 まあこれくらいならいいけど、
 道具の影響で街に魚がうろつきだす。
 さらには鮫までやってきて慌てる一同。

 いきなりだがこの導入はどうかな。
 話の舞台を整えるためとはいえ、ちょっと強引すぎる入りである。
 のび太がわがままでやらかしたとかならともかく、
 今回はドラえもんが率先して「街に鮫を呼ぶ」なんて無茶を仕掛けている。
 同じ道具を使うにしても
 のび太なりジャイアンたちのいたずらにして欲しいところ。


 ともあれ、このせいでやってきた
 今回のゲストキャラ、ソフィアと仲良くなる。
 ここまで全員から可愛い可愛い言われる子も珍しい。
 素性もなにも分からないのに
 可愛いというだけの理由で仲良くなり、
 可愛いという理由だけでタケコプターで遊ぶ。
 また可愛いという理由だけでお風呂シーンに移り、
 男陣がみんな服を脱ぐところを見たがる。
 ……このシーンやたら男性陣がしつこくてテンポが悪い。


 ともあれ、ようやくソフィアがおかしいと気付く男性陣。
 ドラミちゃんがやってきて、人魚に関する豆知識を説明してくれる。
 久しぶりの豆知識コーナー。嬉しい。
 ドラミちゃんが解説役というのもハマり役である。
 ……出木杉君いらないな。


 ソフィアは別に素性を隠すつもりもなさそうで
 あっさり人魚だと話す。
 さらに異星人だったらしく、故郷の星を探したがる。

のび太「星を見に行こう」
ジャイアン「ギャハハハハ、昼には星は見えないの」

スネ夫「ぎょしゃ座はどれだったかな……」
ジャイアン「お前が忘れたせいでソフィアさんが傷ついたぞ!」
しずか「そうよ!」

 ええええ……?
 ジャイアンもしずかちゃんも理不尽すぎる。
 しかも星座くらい調べればいいのに
 やろうともせず
ソフィア「無理そうなので海に帰ります。みなさんもご招待します」
 えええええええ……?


 強引どころかもう理不尽な展開で一同は海の底へ。
 ここで10年ぶりくらいに戻ってきた武田鉄也氏の主題歌がかかる。
 相変わらずいい歌だしいい声である。
 でも「小宇宙」に続いてまたシーンと歌詞が合ってない……。
 この曲、エンディングテーマに出来なかったのか。

 海の中でキャンプを張る。
「鬼岩城」と同じく海底キャンプだが、
 今回は「海の水を追い出せる」という道具を使うので
 海の底感はない。
 ちょっと残念だが、これは終盤への伏線なので仕方あるまい。
 人魚の伝説が語られて、「人魚の剣」なるものが出てくる。
 今後はそれをさがす冒険になるらしい。

 少しだけという話だったのに
 当たり前のようにしずかちゃんとソフィアが
 ティアラとカチューシャを取り換えて冒険を再開する。
 まあこの後起こることは推して知るべしである。


 話は海底王宮に移るのだが……、ここから展開はさらに強引になり、
 かつここまでなかったディズニー病が再発してくる。
 意味のないところでふざける、
 意味のないところで転ぶ、
 意味のないところでぶつかる。
 どうも今回、完成後に上映時間が伸びたとかで
 無理やり話を引き伸ばしてる気がする。

 話は後半へ行くほどどんどん強引になっていく。
 適応灯の効果が切れかけると言うどこかで見たようなピンチが起こり、
 敵にさらわれたしずかちゃんがピンチなのだが、
 この時の動きがいちいち長くて冗長。
 助けたと思えばのび太が突然泳げなくなりイライラさせられる。
 キャラの動きがいちいち「ピンチを作るための動き」なのである。

 もう1人のゲスト、ハリボーも
 まったく登場した意味がない。
 こいつの存在自体が話を長引かせるためな気がする。


 よく分からんがケンカしてたらしい母のウンディーネと
 とくに理由もなく仲直りするソフィア。
 だがここまで冗長にやってきたのだが、
 ここでいきなり時間が飛ぶ。
 次のシーンではすでに全面戦争の真っ只中になっており、
 なぜかドラえもんが新しい道具を出さないため戦況は劣勢。
 ボッコボコにやられてしまう。
 どう考えてもスネ夫たちは敵に捕まったと思うのだが、
 またシーンが飛んで一時休戦、みんな無事。
 ただし「こちらの戦力は半減」したらしい。

 あくまで予想なのだが、このシーンで結構がっつりと
 戦闘シーンが描写される予定だったのを
 なにかしらの判断によって戦闘描写が短縮。
 その分のしわ寄せが前までのシーンにいって
 話が冗長になったんじゃないかな。


 ソフィアが祈りをささげると、人形の剣はあっさり現れる。
 そしてあっさり敵に奪われる。
 凄まじい威力を発揮する人魚の剣だが、
 なんとその威力はさっきキャンプを張る時使った
 秘密道具より弱いらしい。

ソフィア「もうおしまいなのだろうか……なにもかも」
 いや、うん、ドラえもんが本気出せば瞬殺できるよ?
 もっとも今回のドラえもんは
 最後の最後まで舐めプしてるのだが。


 冒頭に出てきた、(自分が)水の中にいる暗示にかかる道具を使うと、
 なぜか敵も水中にいると思いこむというよく分からない現象が起こり、
 敵を翻弄する一同。
 伝説の剣も名刀電光丸で一撃。
 ……さっきまで手こずってたのはなんだったのよ。

 かくして剣を取り戻すソフィア。
 剣の力で海がきれいになる。
 ……これまで汚れてたって描写がないんだが。


 総評としては、「緑の巨人伝」とはちがう意味で
 ちぐはぐな作品。

 やたら説明不足だったかと思えば
 やたら話の引き伸ばしが激しかったり。
「新魔界」ほど明確な材料は分からないが、
 今回もまた脚本家が好きに書けてない感じがする。
 尺に惑わされたり、
 ウンディーネの設定など、ゲスト声優の都合だろうか。
 後から追加されたような要素が多かった。

「藤子先生が描いてないからダメだ」とかいう意見もあるが
 すでにいなかった旧劇後期でも
 翼や風使い、ワンニャンはよく出来ていたのだから、
 なにか理由があったと考えるのが自然だ。


 ゲスト声優はかなりがんばっている。
 前作新宇宙開拓でもメインのロップル君を普通の声優さんが務め
 気になるのは妹ちゃんの日本語すら怪しい演技力(ガチでハーフの子らしい)
 くらいだったが、
 今回はメインのソフィアやはり坊は声優さんが務め、
 ゲストの温水洋一さん、真矢みきさんは脇役に徹している。
 さかなクン(これもゲスト声優)をもとにした博士は
 あくまでギャグの一環としてさらっと流されている。
 演技力はともかく作品に水を差さない。


 武田鉄也氏の挿入歌や、ゲスト声優は好演しており、
 良作要素は充分にそろっていたのだが。
「足りない」作品で終わってしまった。



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