映画感想 ドラえもん のび太の新宇宙開拓史

ネタバレ注意

 リメイク第3弾。
 旧シリーズでもそんなに人気がある作品とも思えないが
 2作目だからだろうか?
 ここでこのチョイスは意外だ。


 そもそも「開拓史」はシリーズ初期の作品とあって、
 まだ藤子先生が長編のコツを掴んでない頃。
「恐竜」と同じくストーリーラインにかなり不具合があり、
 矛盾点、理不尽な点が多い作品である。

 だが「恐竜2006」「新魔界」ではそこらへんは訂正されていたのに、
 今回は「追加」は多くても「訂正」はない。
「そうか、テレパシーでつながったんだ」を始め、
 ドラえもんらしくない、説明不可能な設定。
 理不尽すぎるジャイアンたちの八つ当たりなど、
 マズい流れがいくつもそのままになっている。

 代わりに追加されたのは真キャラ「モリーナ」。
 そして彼女と父親に冠するサブストーリーが噛んでくる。
 だけ。

「恐竜06」「新魔界」と設定変更が批判されたので
 原作は一切変えずになぞりながら
「新魔界」で挑戦していた家族愛に再度チャレンジ。
 といったところか。
 試行錯誤の時期だったのだろう。


 ディズニー病も「巨人伝」に続き、かなりひどい。
 相変わらず無駄に動きすぎてダンサブルである。
 新劇以降のドラえもんが無意味に転んだ回数とか
 数えたくなる。

 巨人伝よりは動きは抑えてあるかもしれないが、
 今回もこの点がかなり気になる。
 というのも今回、背景が抜群にいいのである。
「理想的な条件の別の星」という設定のためか、
 はっきりいってそこらのジブリ映画を越えてるくらい
 どのシーンも絵として美しい。
 背景だけ見てたい気分だ。

 それだけにぎゃーぎゃー動くキャラクターが目障り。
 途中、ゾウみたいのに乗って
 惑星を回るシーンがあるのだが、
 こうした「統制のとれた動き」をしてくれるシーンでは
 背景とマッチしていて非常にいいのに……。


 気になった変更点は以下の5点
・空き地の代替案が野球盤からスモールライトへ
・ブブが消滅、モリーナに変更され、彼女に伴うイベント追加
・雪の花が小型化。「保安官のバッジ」という扱いに
・ギラーミンが凶悪化。ラストバトルはのび太と一騎打ちに
・惑星破壊装置を倒すのがタイム風呂敷からワープ装置に変更


・空き地の代替案が野球盤からスモールライトへ
 重箱の隅をつつくようだが、真っ先に気になったポイント。
「空き地が欲しい」というのび太に対し、
 スモールライトで小さくなればいいというドラえもんに、
 のび太は「それじゃダメだよなんとなく!」と拒む。
 細かいようだがこういう理屈の放棄はやめてほしい。
 理屈で論破できないならこんな話すべきでないし、
 話を出すなら一度試してみて
 犬に追いかけられたとかで「こんなんじゃダメだ!」とすべきである。


・ブブが消滅、モリーナに変更され、彼女に伴うイベント追加
 これはいい。
 クレムが好きで悪事に走るブブのカットは痛いが、
 デブのクソガキよりはきれいなお姉さんである。
 モリーナは今回の芸能人枠で演技力は「新魔界」レベルだし、
 彼女に伴う父親との小イベントも、冒頭から全編にわたって
 描かれていたわりに解決があっさりではあるが、
 出番が少なくセリフも少ないため「新魔界」よりだいぶまし。
 副産物としてラストバトルが盛り上がるものになった。
 第二のヒロイン登場で妹のクレムの影が薄くなったが、
 クレムはクレムで声優がかなり悲惨なため
 出番を減らしたのはむしろ英断。


・雪の花が小型化。「保安官のバッジ」という扱いに
 これは非常によかった。満点。
 原作では薄かった西部劇要素が強まった。
 だが反面、クレムとの叙情的なシーンが消えてしまうので
 満点-30で70点くらいの変更。


・ギラーミンが凶悪化。ラストバトルはのび太と一騎打ちに
 これはプラマイ0。
 ギラーミンがただの悪党になっており、惑星破壊も彼主導で行われる。
 これはちょっとギラーミンの「強敵っぽさ」を削ぐ設定変更である。
 だが決着シーンは抜群に良い。
 前作では「のび太が人を撃ち殺すわけには」的な配慮があったが、
 今回は気絶させるだけなので
 まさにガンマン風に対決していてカッコいい。
 つまり「勝負」自体はよくなったのだが
 その相手が「一騎打ちで倒す」価値はなくなったのは残念。


・惑星破壊装置を倒すのがタイム風呂敷からワープ装置に変更
 これは満点。
 タイム風呂敷がチートすぎて最後があっさりだった旧版から
 ちゃんと全員が工夫して盛り上げている。
(正確にはドラえもんが必要のない解決方法になったが)
 そこからモリーナのサブストーリーにもつなげて
 感動系のカタルシスにもつながっている。



 とまあ、リメイクとして正しくパワーアップしている一作。
 ただ「恐竜」のように原作から大きく放れる勇気がなかったため、
 原作の欠点まで引き継いでしまったのが残念か。
「新魔界」とちがって「よくなった分悪くなった」感はないので
 旧作より明確に勧められる一品ではあるが……。
 新作としてあと一歩というところ。



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