映画感想 ドラえもん ロボット王国

ネタバレ注意




 基本90~100分構成の映画版では、
 珍しく80分しかない。
 ちょうどドラえもんズとかやってるころだっけ?
 そのあおりなので仕方ない話だが……、
 残念ながらシナリオ展開が、
 普通より10分少ない影響をモロに受けている。
 吊り橋を逃げる際、急がなきゃいけないのに歩いてたりと
 微妙に冗長なシーンがあり
 もうちょっと切り詰められた気もするが……。


 話の仕組みと舞台、演出はかなり良好な作品である。
 まず掴みがかなり素晴らしい。
 火の鳥で見たような、ロボットと人間の共存する世界。
『ロボットと人間の世界』といえば、ロボットが反乱を起こすのが
 お約束というやつだが、
 本作はドラえもん。共存するのが当然である。
 出てくるロボット『ロビ』は優しいが、見た目はちょっと不気味。
 一目で敵と分かるロボットが出てきて連れて行かれる。
 犬型ロボットの怖さ、不気味な空の色と、何とも怖い世界感が完成されている。


 のび太視点では、ちょうどこのころ出てたころか。
 アイボっぽいロボットが登場する。
 一般社会でも「家族のように扱うロボット」が現れだしたころで、
 ドラえもんにはベストな題材である。
 OP終了後、未来デパートからの商品ということで、
「みんなの考えたロボット」的なロボットたちがたくさん登場。
 一般社会のロボットから、子供たちの理想のロボット。
 そして本題のロボット世界へと、
 段階をつけて移っていくので、世界に入り込みやすい。
 そうしてポコが登場し、
 成り行きでポコのいた世界へ向かうことになる。

 まだ開始15分なのに、のび太が妙に勇ましく
「冒険なら任せてよ」とか言い出すのはさすがに違和感だが、
 本当はもう少し丁寧にポコとの友情が描かれるはずだったのだろう。
 現にこのゲストキャラクター「ポコ」との友情物語は
 明らかに尺が足りていない。
 シナリオ完成後に時間が削られたので
 この辺りが削られたのだろうか?

 開始40分が経過して、囚われたドラえもんを
 助けにいく流れになるのだが、
 このあたりまでポコはのび太たちと
 まともに会話をしておらず、
 せいぜい自分たちの現在置かれた立場や
 このロボット世界の世界感を説明するくらい。
 もう1人のゲスト「くるりんぱ」のほうが仲良くしてるくらいだ。
 普通なら友情を育むシーンがあったはずだ。


 こうしてゲストのポコが「友達」というか
 物語を勧めるマクガフィン的な立ち位置のまま話は進む。
「鋼鉄バトル」というロボット同士のコロシアムへ向かい、
 ゴリラと闘わされるドラえもん。
 騎士っぽい服が結構似合ってる。

 チート道具は一切封じられていないのでドラえもんが負ける要素はないが、
 やたらとドラえもんの自爆が多く苦戦。
 ドラえもんの1対1のガチバトルと言うのは珍しいので
 なかなか楽しい。
 山場を過ぎて、のび太の「ロボットは道具じゃない」という啖呵も、
 本作のテーマ的にはベストなところで飛び出す。

 そしてロボットの隠れ里「虹の谷」へ逃げ落ち、
 ロボットたちの女王「ジャンヌ」とも和解。
 ひと時の平和が訪れる。
 小錦関が声優をやってて笑ってしまうのはともかく、
 中世風の世界感とあってて美しいシーンである。

 のだが、この時点で1時間が経過。残り20分しかない。
 当然ながらこの後は一気に話が動く。
 敵の城へ乗り込むも、敵兵は「人間には手出しできない」ということで一発突破。
 敵はいきなり最後の手段と基地を動かしだし、
 のび太も巨大ロボットを操って反撃に出る。
 妙に勇敢なのはともかく、
 ちゃんとドジりつつも敵を倒すというのび太らしい活躍はいい。


 尺のない無理がさらに表面化。
 特に理由もなく仲間を残して
 ドラえもん1人で敵の城へ乗り込むことに。
 特に理由もなく敵の兵隊には会うことなく、
 特に理由もなく簡単にボスの元へ。

 ボスが偶然ドラえもんの石頭で倒されるのはいいとして、
 城の装置が暴走し、ドラえもんとポコの母マリアがピンチに陥る。
 転送装置という劣化版どこでもドアみたいな装置を使うのだが、
 そのために必要なテレパシー能力に突然ポコが目覚め、
 無事ドラえもんたちは帰ってくる。
 このシーンを作りたかったのは分かるのだが、
 話作りが無理やり過ぎである。
 あと5分あればもっとしっくりくる作りにできただろうに。

 最後には、敵のボスが人間だったことがわかる。
 なかなか面白い話ではあるのだが、
「進む道がまちがっていた」とサラッと流されてしまっており
 どうしてこんなことになったのか等は不明なまま。
 はっきりいって説明不足である。
 冒頭出てきた「ロビ」も元に戻った描写がない。

 最後のオチとして、国に虹がかかり
「この国を虹の郷にしよう」という話で締めるのは非常に上手い。
 ここまでの急ぎ足がなければもっと味わえたろうに……。


 一つ一つを取っていけば光るものが多いのだが、
 話の大きなところが急ぎ過ぎて台無しと言う
 非常にもったない作品。
 ほんとにもう……100分くらいガッツリとやってほしかった。
 旧ドラでは後期にあたるのでしばらくないだろうが、
 いつかちゃんと時間を取った上で
 リメイクしてほしいものである。

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