映画感想 ドラえもん のび太の宇宙漂流記

ネタバレ注意
 ……また宇宙?
 銀河超特急がまだ記憶にあるのにまた宇宙ネタ。
 ちょっと混乱してしまうが、
 内実はかなりちがっているので安心。
 前作「南海」では目立っていたディズニーっぽさも
 今回はなりを潜めている。
 まあ代わりにスタートレックっぽくなってるけど。



 冒頭、いきなり宇宙戦争から始まる。
 最近のドラえもんはほぼ「敵」か「ゲスト」という
 離れた視点から始まっていたので、
 この形は珍しいかも。

 さらに珍しいことに本作、OP前の「ドラえもーん」を
 スネ夫とジャイアンが言う。
 こういう引っかけは楽しい。
 OPの映像も、それまでずっとドラえもん1人が担当していたのが
 前作「南海」から他メンバーも登場するようになったが、
 本作からははっきりと「5人によるOP」となっている。
 個人的にOPはこっちのパターンのほうが好みである。


 OP終了後、ドラえもんの道具で
 無重力を使って遊ぶことに。
「宇宙」=「無重力」は分かるけど
 ちょっと無駄なシーンが多くて微妙である。
 短編作家だけに無駄を嫌う藤子先生ならしなかったというか……。
 ダストシュートのように空気が外へ排出されている描写が
 重力でなく気圧差の影響なので間違っているなんてツッコみは野暮として、

 ジュースの飲みかたが汚くてしずかちゃんに叱られたり、
 おならで吹っ飛ぶ、まったく意味もなくパンツを出すなど
 演出やのび太の行動がいちいち下品。

 写真で追いかけるときのリアクションや
 追いつけなかったときの反応。
 再開したジャイアンとドラえもんがお互い警戒し合うなど、
 動きに無駄が多いなど、
「藤子先生作品ではない」のがちらちら見えてしまう。


 ここでゲストのリアンが登場する。
 自分でジャイアンたちをさらっておきながら、
 少なくともゴミとはいえ地球のものを勝手に盗んでおきながら
 態度がでかい。
 その割にかなり頼りなく、のび太にも助けられるくらいなので
 今回はちょっと微妙なゲストである。
 宇宙のことには詳しいようだが、
 こういう現実世界に関する解説役はドラえもん、
 もしくはスネ夫のほうがよかった。

 ブラックホールの絵や宇宙の背景などが、
 これまでの作品に比べてかなりきれいなのは魅力的。
 技術の進歩といったところか。


 本作はこのまま、「宇宙船」をメインに話が進む。
「銀河超特急」で危惧した軸ブレがもろに起こっており、
 惑星が次々移るため落ち着きがない。
 スタートレックの総集編的な印象を受ける。
 味方の総本部もソレっぽい。

 敵のボスは「アンゴルモア」。
 ノストラダムスの大予言とかけている。
 これは僕くらいの年の人間にはいい演出である。


 こうして最終決戦に挑むのだが、
 このあたりから脚本がかなりぐだついてくる。
「ユグドの木」とやらと対話するシーンでは
 いきなりリアンのお母さんが現れ
のび太「お母さんは死んだの?」
ナマズ「ずっと前にな」
 ここはいくらなんでも伏線、というか「母親が死んでいる旨」くらい
 前に入れておくべきであろう。

 また決戦には
ドラえもん「ゲームの宇宙船で向かう」
のび太「なるほど」
 んなこと出来るんかーい。
 ここはドラえもんなら
のび太「そんなことができるの?」
ドラえもん「どーたらこーたらして出来るよ」
 くらいの掛け合いは欲しい。


 まあともあれ最終決戦。
 アンゴルモアを追い詰めることに。

 ちなみにアンゴルモアは敵に操られたリアンのお父さんが倒す。
 ……あ、トレックじゃなくウォーズの方か。
 まあ盛り上がるのでここはいい。


 ただアンゴルモアはまだ死んでおらず、
 復活してくる。
 もちろんドラえもんの敵ではないので瞬殺されるが……。
 最後の決戦はそれではなく、
 惑星に衝突しようとする宇宙線を
 ひらりマントで避けるところ。
 ここは結構とんちが効いてて面白い。


 アンゴルモアの正体は「みんなの心に潜む悪の塊」だったらしい。
 本体はスライムのような何かで、
 機械に取りついて襲い掛かってくる。

 この設定はいらなかったな。
 ひらりマントのシーンでオチには充分だし、
「結局敵の正体がよく分からない」ってのも
 ドラえもんのSFっぽさが薄れるし、
 ドラえもんはこのアンゴルモアを最後、
 ブラックホールに送り届ける。
 つまり明確に殺しにかかる。
「戦いの結果殺す」ならともかく、「意思を持って殺す」は違うと思う。


 とまあ本編はちょっとぐだぐだな面が多いが、

 今回のエンディングテーマ担当は「SPEED」。
 ノリのいい歌で、前回前々回のラブソングよりは
 ドラえもんに合っている。
 武田鉄矢氏の曲調とはだいぶ異なるが、
 これはこれでいいと思う曲である。
 エンディングでは20周年ということで
 これまでの作品の一枚絵が流れるなんてサービスもある。
 そしてエンディング後は、やたらとかっこいい宇宙船が
 美しい宇宙空間へ旅していく一枚でシメ。
 気づかなかったけど宇宙船のデザインが
 ドラえもんとは思えないくらいかっこよかったようだ。

 本編はともかく、エンディングの出来は
 これまでで一番の作品となっている。







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