映画感想 ドラえもん のび太の銀河超特急

ネタバレ注意






 Wikiによると、本作が藤子先生が
 最後まで見届けた最後の一作になったらしい。
 うーん……へこむ。


 これもWikiにあったのだが、
 前年の創世日記が小難しかったため
 こちらは娯楽性を重視しているらしい。

 なるほど確かに。
 星間旅行でいろんな舞台を渡り歩くため、
 目まぐるしく環境が変わりいろんな楽しみ方が出来る。
 ただそれは反面、落ち着きがない作品という欠点もこうむる。
 冒険に「軸」がなくなるのである。

 と思いきや、さすが短編の神様藤子先生というか、
 舞台に「軸」を作ることにはしっかりと余念がない。
 前半は宇宙「列車」、間には「ウエスタンな町」が入り、
 後半は「荒野」が舞台になっている。
 ようするに「宇宙旅行」という名の「西部劇」である。

 パッと見は銀河鉄道999をネタにしている感じだが、
 あくまで「宇宙を列車で走る」、「西部劇っぽい」という点が同じなだけ。
 999は哲郎の格好以外西部劇っぽさはほぼ0だったため、
 こちらのほうがより西部感が強い。
 西部劇は「宇宙開拓史」でやったため、
 宇宙旅行という建前を付けたのだろう。


 冒頭はかなり不思議な幕開けとなっている。
 スネ夫の自慢話はいつものこととして、
 ドラえもんがいなくなったという。
 おいおいいきなり?
 しかもそれをスネ夫やジャイアンがまったく心配しないのは
 のちに面倒を残さないためとはいえちょっと違和感がある。

 OP開け、すぐにドラえもんは帰ってくる。
 銀河鉄道のチケットを取りに行っていたらしい。
 …未来世界なのに並ぶ必要があるのか?
 しかもその間連絡もしないって……。


 といきなりツッコみどころ満載の冒頭だが、
 その後、列車に乗り込むと一気に面白くなる。
 列車のなかは簡単な「未来世界探索」となっており、
 いわゆる「子供だけのユートピア」がいきなり用意されている。
 最初のうちは車掌が出てこず、ちょっとドキドキするが、
 これもすぐ決着がつく。

 直後に事件発生。
 のび太のキャラが勇敢になって、先頭を切って敵と戦おうとか言い出すのは
 まだいいとして、
 スネ夫の「のび太って映画になると勇敢になる」って
 メタ発言はどうもなあ。


 この後、銀河鉄道と言いつつ、始まって30分で
 遊園地のある荒野の惑星に到着。
 もう列車は降りることになる。
 これはちょっと首をひねるところだが、
 列車は後にバトルで再登場するのでいいか。

 遊園地で遊ぶのび太たち。
 のび太は得意の銃を生かすため西部劇へ。
 ジャイアンたちは忍者へ。
 ドラえもんに頼らずとも、個人が不思議な道具を使えるようになる。
 こうした道具の分散は面白い。
 また同時に、このあたりから敵「ヤドリ」の存在が明らかに。
 人間にパラサイトするという、いかにも宇宙の敵らしい敵である。


 のび太たちが恐竜の星で遊んでいる隙に、ヤドリは増殖。
 ドラえもんのポケットがいきなり封印され、
 西部の星で出てきたライバルキャラの
 アストンに取りつく。
 このアストンたちは今回のゲストキャラなのだが、
 他に車掌やボームさんといったいいゲストがいる上、
 こいつらは本当に嫌なやつなので、敵になってもさほどショックはない。

 ただ直後、スネ夫まで乗っ取られる。
 ブリキの迷宮以降ほとんど見せ場のなかったスネ夫だが、
 とうとう敵という形で活躍することになった。
 前半、いつにも増して扱いの悪かったスネ夫だが、
 こんな扱いはさすがに可愛そう……。
 でも出番が増えたともいえるか。
 ポジティブにとらえておこう。


 一度はマズいことになったものの、列車を使って敵のもとを脱出。
 荒野の星、「禁断の星」に漂着する。
 星から逃げるすべがなくなりピンチ。
 アストンの仲間のジェニーたちがいきなり現れるが、
 こいつらはまったく役に立たないので無視していい。

 ジャイアンが機転を利かせて、星脱出のための
 新しい列車を発見してくれる。
 このシーンは本当に気持ちがいい。
 それありなの? って感じだが、列車が出てくるシーンは
「銀河超特急」と名付けられた本作でも一番のハイライト。
 操られてただけのスネ夫に比べて
 ジャイアンは一番美味しいところを持っていってしまった。


 こうして星からの脱出に成功するわけだが……、
 この時点で開始から90分。
 本作は100分なため、あと10分しかない。
 ヤドリとの決戦もあるし、物語は畳み切れるのか?
 嫌な予感がするが……。


 予感は的中。
 あきらかに畳むだけの時間がなかった。
 脱出した直後なのにあっという間に壊される列車。
 不時着した星でヤドリとの決戦にかかる。
 だがこちらにはすでにヤドリを倒せる武器が手に入っているため、
 追いかけてきたヤドリを一方的に虐殺できる。
 禁断の星から脱出した意味もなく、
 あっという間にヤドリたちを片づける面々。

 なおラスボスの「天帝」は、巨大なボディを使って
 なかなか手こずらせてくれる……かと思いきや、
 なぜか待ち伏せたのび太の前に、隙だらけな本体を出してくる。
 なにやってんだコイツは。
 当然射撃の名人なのび太にかかれば瞬殺である。
 なお残るヤドリはあっという間に逃げてしまう。

 このラストバトル、なんと2分ちょっとで終わる。
 列車墜落から天帝が倒れるまで
 たぶん150秒なかったと思う。
 なお逃げたヤドリについては「二度と来ないでしょう」と
 放置である。
 まあヤドリを追いかけているらしい「銀河警備隊」なる連中がいるそうなので
 そいつらに任せればいいんだろうが。


 最後には、荒野の星をアストンの大金持ちな親が助けるという約束がされて
 おしまい。
 ここも強引だ。
 やっぱり藤子先生が体調を崩されていた弊害だろうか。


 設定は完璧だったし、
 コンセプトも、アイデアもよかっただけに、
 最後の時間のなさだけが残念な作品。





コメント

 
なんだか久々に見たくなってきました

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