映画感想 ドラえもん のび太のドラビアンナイト

ネタバレ注意!!!



 本の中に入り込むという不思議道具からなる
 アラビア大冒険。

 ただアラビア特有の妖しい雰囲気というか
 どうも序盤からピンチが続きすぎて
 閉塞感の強い作品になっている。


 本の中に入り込むというアイデアはすごくいいと思う。
 ここまでやってこなかったのが不思議なくらいで、
 のちの「夢に入り込む」よりも舞台が想像しやすい。
 おばQのゲスト出演もさらっと終わって面白いし、
 ジャイアンたちがお話をぶっ壊すのも
 夢をかなえてくれる。

 ……が、「本の中の冒険」は最初20分で終了。
 その後は「本の世界が実際の世界とつながっていた」
 という「ん?」な設定になり、
 いつも通りタイムマシーンで冒険に向かうこととなる。

 まあこれは終盤に出てくる
「アラビアンナイトは現実だった!」の伏線なのだが、
 序盤は首をかしげるところである。


 そしてその後も首をかしげる展開が続く。
 1人では危ないからとガイドを雇うのだが、
 このガイドが5分もしないうちにいなくなり、
 その後マジで最後の最後まで出てこない。
 いきなり盗賊に襲われる。
 奴隷が当然の世界を目の当たりにしているはずなのに、
 ドラえもんに警戒心がなさすぎる。
 その結果盗賊に隙をつかれ、
 道具を盗られたあげく海に放り込まれるという
 シリーズを通しても珍しくリアルに死に掛けるシーンが、
 全体の半分もいかないうちに出てくる。
 このとき死を免れたのは、マジで運だけである。
 ドラえもんの冒険にしては最初から危険度が高すぎないか?

 海底鬼岩城ではあんなに慎重だった
 みんなの保護者であるドラえもんが、
 あまりにも迂闊すぎる。
 その後の「現実と架空の壁がぼやけてきている」という
 言葉の意味もよく分からない。
 ここら辺なんとなく
 フィクションのなかにもサイエンスな現実味を大事にする
 SF好きな藤子先生らしくない流れとなっている。


 そしてここで一気に大長編の肝。
 ドラえもんのチート封じが行われる。
 ポケットを盗まれるのはシリーズ通してここだけ。
 これ、歴史が変わるくらいマズいのだが、
 相変わらずタイムパトロールは
 ドラえもんの活躍を邪魔する以外は仕事しないので
 今回は出てこない。

 この結果みんなは歩きで砂漠を超えることになる。
 これまた地味にエグい話なのだが、
 そこでニアミスするしずかちゃんの設定もエグい。
 あくまでのび太の夢という話ながら、
 奴隷として扱われ、鞭で打たれかけている。
 奴隷として売られるという設定もさることながら、
 あとちょっとで一生モノの傷を負うところである。


 またこの鞭で打たれかけるというのはまだ夢の話なものの、
 現実でこの奴隷商船は沈没したらしい。
 その結果、同じ船に乗っていた奴隷と奴隷商は
 アブジルとしずかちゃんを除き全滅したそうである。
 しずかちゃん、これトラウマにならなかったんだろうか。
 自分が死にかけるだけならともかく
 一緒に怯えていた奴隷仲間が全員死んだって。

 しずかちゃんの受難は続く。
 奴隷商人のもとを逃げ出すわけだが、直後に砂嵐が発生。
 このときしずかちゃんに防御のすべはなかったはずで、
 また死に掛けている。
 その後はどうやら一晩中砂漠を走って逃げていたようで、
 これも常人なら精神的にやられそうである。


 こうして凄まじく苦しい旅が続いた後、
 シンドバットと出会い、アラビアンナイトの世界が現実だったと分かる。
 ここはいい。
 結局ゲームか現実かが分からないまま終わった西遊記とちがい、
 明確に「昔話は現実だった」と言ってくれるあたりが
 ドラえもんらしい。

 ただこのあとも徹底して迂闊な展開が続く。
 ピンチになるため迂闊なのは仕方ないにしても、
 前半からずっと迂闊だったため気になってくるところである。
 ドラえもんは最初から最後まで
 知能回路が心配になるくらいひどいもので、
 機敏さを見せるところなど、
 最後、敵のアブジルが死に掛けたとき助けてやるくらいである。


 後半の戦い自体は、ランプの妖精や魔人などを交えつつ、
 最後はアラビアンナイトにちなんだ
 敵との一騎打ちとなり楽しい。
 シンドバッドが最後、「家族か…」と
 寂しそうにするのも印象的。

 終盤は普通に悪くないのだが、
 そこに行きつくまでがドラえもんらしくない一作。

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