映画感想 ドラえもん のび太のアニマル惑星

ネタバレ注意!!



「謎の声が聞こえる」とかいう都市伝説のある作品である。
 個人的にそんな声は聞いたことがないが、
 にしても「怖い」作品。

 冒頭からしてなんか異質だ。
 ピンクのもやの中を歩くのび太。不安感をあおるBGMの中、
 出た場所が真っ暗な森の中。
 異世界へ連れて行かれたような錯覚を受け、
 その森に捕らわれたままOPを迎える。
 なんだこりゃ。

「動物がしゃべる惑星に行く」というほんわかした作品のはずなのに、
 OPのあいだずっと不安感に苛まれる。
 ここの演出の仕方、なんとなくF先生でなくA先生っぽい
 意地の悪さが垣間見えるような?


 一応、OPが終わったあとは恐怖は薄れる。
 後に友達になるゲストキャラ、チッポたちがあらわれる。
 こいつらのデザインのおかげで恐怖は一気に吹き飛び、
 そのまま夢(?)は終わる。

 夢で出てきた花が現実世界にもある。など、
 ミステリアスな雰囲気を漂わせつつのび太の日常が描かれ、
 だんだんと今回の舞台である
 アニマルプラネットの存在が近づいてくるのが分かる。

 この辺りにはママによる環境問題。
 ドラえもんによる「二足歩行」に対する豆知識など、
 藤子先生のお得意な要素が入る。
 子供映画である以上、このパートは必要不可欠。
 勉強になると同時にこれから乗り出す冒険の舞台の
 異質さが演出されている。
 出来ればこのパートは出来杉くんに説明して欲しいけど。


 それよりも、動物に擬態して入り込んだアニマルプラネットの
 描写が面白い。

 最初のうちは動物たちのキャラクターが一切あらわれず、
 惑星の世界感だけが描かれ続ける。
 奇妙なお供えなど、気になる設備満載。
 またこの惑星は太陽光発電、完璧な下水処理など
 22世紀の地球より環境設備が進んでいるという
 環境問題の行きついた先みたいな世界感が示される。
 と、同時に宗教っぽさが随所にみられて妙に怖い。
 本作のホラー感が強いゆえんである。

 また同時に、追ってきたジャイアンたちは
 地獄と化した世界を見せられる。
 ちょっと押し付けすぎとも思うが、環境問題前面の作品なのは
 当時の年代に会っていると言えるだろう。


 そしてチッポたちと再会。
『聖典』という後の伏線を支えつつ、
 いつもの5人が集結する。
 ここに「謎の声が」どうのというシーンも挟まっているが、
 ジャイアンが怖がっているシーンでもあるのが妙に怖い。
 こうしてメンバーは地球に戻るわけだが……。


 ここまではまだ半分。
 もう一度地球の環境問題を噛ませるパートがやってくる。
 ちょっと今回、環境問題推しがしつこい……、
 一度現実にも戻ることで現実である環境問題に
 身が入りやすくなったとも言えるだろう。
 そして話は一気にアニマルプラネットのピンチに進む。

 チッポの幽霊の正体はすぐ分かるとして、
 現れたニムゲたちの攻撃が、目には見えず
 音だけで表現されるのが怖い。
 ドラえもん世界なのに、音だけ聞くと完全にSF戦闘映画である。
 絵もついていたら確実に血が流れていただろうから
 音だけにしたのは上手いと言えるだろう。
 こうして漠然とした不安を抱えながら
 チッポを助けるべくアニマルプラネットに向かう。

 と、ここで一転攻性。
 これまでずっと怯えていたジャイアンが勇気を示す。
 このシーンで、作品をおおっていたどことなく怖い、
 ホラーな空気感が吹っ飛ぶ。
 それまでずっと怯えていたジャイアンが、友達のピンチならと
 勇気を出して助けに来るのである。
 さすがガキ大将と言うべきか、
 ジャイアンが怯えているとこちらまで怖くなり、
 勇気を出すとそれが吹っ飛ぶのは
 お見事としか言いようがない。


 そしてシリーズきってのチートアイテム、
『ツキの月』を使っての逆転開始となる。
 食べたのび太をラッキーマンにするこのアイテム。
 実にドラえもんらしい。
 分かりやすく、説明不要で、無敵である。

 こうしてニムゲの星に連れ去らわれたロミちゃんを
 助けに行くのが本作のマックス。
 このシーンは本当にドキドキさせられる。
 ハリウッド映画っぽいと言ってもいい。

 その後は悪名高きタイムパトロールに近い
 謎の銀河警察が現れてあっという間に敵を倒してしまう。
 本作は環境問題がテーマなので、
 ニムゲが人間だったと分かった時点で
 若干物語を投げた感もある。


 ドラえもん映画中期に見られた
 環境問題推しの一際強い本作。
 端々に入る恐怖感が積み重なって、なかなか飽きない名作だった。

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