映画感想 ドラえもん のび太の日本誕生

ネタバレ注意!!



 ドラえもんの中で史上最高の動員数を記録した映画だそうな。

 個人的にもお気に入りの一作。
 ストーリーはともかく、それ以外のところで
 触れておきたい面が多い。
 ギガゾンビやツチダマのデザイン。
 料理が出てくるカブ。
 ペット枠で出てくるペガ、グリ、ドラコと、その生み出し方。
「俺母ちゃんの奴隷じゃないっつーの」「バーベキューにするぞよ」といった、
 なんだか耳に残るセリフなど、
 色々な部分でセンスが良い。


 構成としては、第一作のび太の恐竜をリスペクト。
 もしくは改良、改善したような作りになっている。
 古代の冒険。ペットとの交流。ラスト闘技場でのピンチから、
 やはりTPが余計なことをする点まで同じ。
 大きくは主題を「ペットとの交流」から
「古代世界の冒険」にシフトした点くらいか。


 本作は「俺母ちゃんの奴隷じゃないっつーの」という
 妙に耳に残るジャイアンの悲痛な雄叫びから、
 5人が古代世界に家出することに端を発する。
 前半はしばらくドラえもんの力を借りての宅地開発である。

 こうした「のび太たちだけのユートピア作り」は
 大長編には欠かせないポイントのひとつ。
 子供たちの「秘密基地が欲しい」感覚を、
 最大級に満足させてくれる要素であり、
 とくに「土を掘っただけ」という本拠地は、
 この年になってすら
 もしかしたらドラえもんなしでも作れるんじゃ……?
 と妙な期待を抱かせてくれる。
 カブを育てたらラーメンが育つという
 わけのわからない食糧自給もいい感じだ。

 またペット要素もあり、
 のび太が「アンプルを混ぜる」という無茶芸当で
 ペガ、グリ、ドラコを生み出す。
 古代世界なので神話上の生き物を
 ペットにするという点も面白いし、
 このペットたちは最後、みんなのピンチを救ってくれる。
 映画における「ドラえもんのチート封じ」と並ぶ難題。
「のび太の有能化」が、
 ほんのちょっとした発想だけで達成されているのである。


 こうしてユートピアを築いたのび太たちだが、
 物語は中盤に差し掛かると一気に「打倒ギガゾンビ」に移る。

「恐竜」で述べた通り
 長編は苦手だとおっしゃっていた藤子先生だが、
 このころにはすっかり長編の書き方に慣れているらしい。
 前半からの流れからごく自然に、かつメリハリの利いた移行で
 テンポが崩れない。

 冒頭に謎の穴に吸い込まれたククルが再登場して、
 古代世界との「ひとの繋がり」が発生すると同時に
「神隠しの説明」「くらやみ族」「ギガゾンビの顔」と
 絶妙に怖いシーンが続いて
 それまでの秘密基地ごっこで浮かれた気分を一気に忘れさせる。

 ククルの家族に追いついたあとは、現れるツチダマも不気味そのもの。
 とりあえずこちらにはドラえもんがいるので負けはしないが、
 勝ったあとで再生するなど、薄気味悪いったらない。
 こうして不気味さの一切晴れない敵と、終盤ついに直接対決に向かう。

 時間を止めるというDIO様もびっくりのチートっぷりを見せるドラえもんに、
 同じ未来人だから効かないという
 わけの分からない理屈で反撃してくるギガゾンビ。
 あっさり捕まり闘技場へ運ばれピンチになるも、
 そこにペットたちが加勢に来る……と、
 ここら辺は「のび太の恐竜」と全く同じ流れ。
 この後タイムパトロールの介入があるのも同じである。

 そんなわけで恐竜同様、またTPが余計なことをした終わり方ながら、
 今回のTPはガチで死にそうなのび太を救っているし、
 そもそものび太が呼ばなければギガゾンビに出し抜かれてるし、
 彼らの活躍もあくまでドラえもんありきのものなので
 いうほど心象は悪くない。
 やはり終盤の駆け足っぷりは否めないが。


 ところで本作を見るたび思うのだが、
 結局ククルたちは日本に移り住むことになったわけだが。
 あの移動はのび太たちが力を貸しているわけで。
 てことはあの民族大移動で歴史が変わっている可能性があるのだが、
 それを目の前でやられても
 タイムパトロールは何も言わないんだろうか?

 それともあれはその後の歴史に影響のない移動……ようするに
 移住したククルたちはあの後絶滅する定めなのだろうか?

 まあドラえもんでこの手の突っ込みは野暮か。


コメント

 
なるほどー。
さすが構成をよく見てますね。
そしてラストの考察が面白いです。
新の方でフォローされてたけど
ククルたちはその後定住したようです

にしても先生の考察はどれも面白いですね
時間をかけて全部の感想見てみようと思います

コメント

 
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