映画感想 ドラえもん のび太の竜の騎士

ネタバレ注意!!







 いきなりネッシーに関する報告から始まり、
 どこかミステリアスな空気を漂わせて始まる本作は、
 構成と言う意味ではシリーズ屈指の完成度。
 長編が苦手とおっしゃる藤子先生が、
 すっかり長編のコツをつかんでいることを感じさせる。

 一作目『恐竜』と同じく、恐竜に対する興味から
 始まるわけだが、
 のび太たちは恐竜を探すわけではない点がちがう。
 一応ネッシーの存在には言及するものの、
 そこはあくまで作品としての味付け。
 冒険のきっかけは
 のび太の0点テストを隠す場所探しである。

 代わりに恐竜、ひいては『竜の騎士』と接触していくのは
 映画では特にヘタレ担当のスネ夫。
 彼だけがネッシーっぽい恐竜を見てしまい、
 本当にいるのかも? と思える話となっている。


 ここの演出がすでに上手い。
 スネ夫の見るネッシーは、1度目はものすごく作り物くさく、
(というか1度目に出てきたやつはほんとなんだったんだ?)
 2度目は本物っぽい。
『のび太の恐竜』では、タイトルからして
 どんな形であれ「ああ恐竜と旅をするんだな」と
 連想できてしまうが、
 今回は『竜の騎士』。つまり恐竜の存在そのものは
 話の本題ではないため、
 このスネ夫の前にだけ現れる恐竜の形をした何かは
 何者で、どんな意味を持つのか。敵か味方か。
 見ている側は混乱させられるのである。

 そうしてスネ夫が謎を引き受けている間、
 のび太たたちの地底探検が始まる。
 勉強していると親たちにアリバイを作るシーンも楽しく、
 地底世界は子供の思い描く
 理想的な秘密基地となっていく。
 ママに叱られるシーンやのび太大泣きシーンの早送りなど
 小ネタも楽しい。

 物語担当のスネ夫がその裏でどんどん核心に近づく。
 消えたはずのラジコン、謎の騎士、壊れるマンホールと
 緊張感は尽きず、
 その後、地底の竜人文明に触れたところで
 一気に物語が開ける。


 いつも通り超文明を持つ地底を案内されるわけだが、
 このシーンもいちいち緊張感が尽きない。
 最初現れるカッパ型地底人が紛れもなく敵なため、
 結果的には100%善人だったバンホーさんも
 規律に対するうるささや、見た目完全にトカゲな外見で
 どうも信用できないし。
 マグマで蒸し焼きにされかけたり、裁判にかけられたりと
 どうにも「竜の騎士」が味方と言いきれる瞬間がない。

 またジャイアンとスネ夫の反応もいつもと違っている。
 のび太がヘマしたときはバカにするのが常なのに
 今回は妙に優しいというか心配してくれる。
 周りが信頼できないため仲間に優しくなるという
 平和でなさがこまめに演出されている。


 地底世界の設定も面白い。
 やや『地磁気』が万能すぎるが、リニアが出たり、
 竜を使った馬車が出たりと
 近代と未来文明がごっちゃになっている。
 劇場版ドラえもんにおいてよく見られる
「中世っぽいけど未来的」な街並みのお初である。

 そして地底を案内される途中、ラストに関する
 きわめて重要な伏線がさらっと出てくる。
 いかにも怪しい話なのでこれが伏線なのは
 誰でも分かるが、
 鉄人兵団のように「実は未来の科学者が~」かと思いきや
 今回のオチは意外だ。


 そしてついに最終決戦が始まる。
 風雲ドラえもん城はちと緊迫感に欠けるが、
 大オチで恐竜人との戦争自体がしっちゃかめっちゃかになるので
 あまり緊迫感を出し過ぎると
 戦いが尻切れトンボに思えてしまうためだろう。

 そして最後の『敵』の正体。
 これもなかなか面白い意趣返しである。
 リニアや空間透過など、
 地上文明を遥かに超える科学力を持つ地底人たちだが、
 彼らは地上、つまり空のことに関しては素人なのだ。


 最後まで見て、バンホーさんの言葉でようやく
 そう言えば地底探検は0点のテストを隠すため
 始まったことを思い出す。
 たった90分のうちにめまぐるしく話が移ろい、
 その転機がいちいち違和感がなかったのに驚かされた。


 まああえて欠点を言うなら、
 脚本が「~なのだ」とか「あいつは~なやつなんだ」と
 クセのあるセリフが多かったり、
 最後の決め手「ポップ地下室」は
 せっかくなんだから
 最初に使っていた地底グッズでよかったんじゃとも思う。
 あとゲストヒロインのローが完全にトカゲで可愛くなく、
 これに男性陣がでれでれしてしずかちゃんが嫉妬する流れは
 無理があるんじゃとか色々思うところはあるが……。

 個人的にはシリーズでもベスト3に上げていい傑作だと思う。

コメント

 
初めまして、検索エンジンから来ました。

物語の構成がいかに上手いか、解説に唸りました‼

ところで「中世っぽいけど未来的」なのは『大魔境』が先ではないでしょうか?

ちなみにネッシーは短編では登場しているのに…(笑)
> 初めまして、検索エンジンから来ました。
>
> 物語の構成がいかに上手いか、解説に唸りました‼
>
> ところで「中世っぽいけど未来的」なのは『大魔境』が先ではないでしょうか?
>
> ちなみにネッシーは短編では登場しているのに…(笑)

あー、そういえば大魔境も。
ただあっちはちょっと「未来的」ってほどではないかなーと
言い訳しておきますw

コメント

 
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