映画感想 ドラえもん のび太の宇宙小戦争

ネタバレ注意!!


 前作までの新しい方向性思案とはガラッと変わって、
 タイトルからしてもろに
 スターウォーズをパクったネタ作品となっている。
 冒頭からもう「レオザライオン」のパクりである。

 個人的にドラえもんでこういうのは……と思うが、
 そこは個人の感想だろう。
 一応パクっているのは個々のネタだけで、
 本筋はオリジナルの面を残している。



 本作は「大魔境」の改良版といったところか。
 母国を追い出された偉い人と友達になり、
 ドラえもんの力で反撃戦に出る。という流れ。

 ただ内容はいまひとつ。
 地球人より遥かに小さい人たちの住む星へ行って戦争。
 というアイデアは良かったと思う。
 良かったのだが、のび太たちはストーリーを通して
 ずっとスモールライトにかけられた小さい状態で冒険しており、
 これじゃどっちの身体が小さかろうと変わらない。
「小さい人たちの星へ行って」の要素が
 エンディング絵でしか活かされていないのである。



 冒頭、亡命してきたパピを守り戦うことを決めるまでの
 流れが非常に速い。
 その後は一変してギルモア将軍との戦いとなる。
 ここまで最初から最後まで
「戦うための物語」は、大長編ドラで初めてだ。
 個人的に大長編ドラでは「戦い」より「冒険」を楽しみたいので
 こうした流れは今一つ。

 また敵はすぐにのび太たちに目をつけてくる。
 毎日監視されるようになり、どうもドラえもんらしい
 平和な日常シーンがないため入り込みづらいし、
 ドラえもんのうつ手は
「カーテンを閉めて隠れる」だけ。
 不思議道具でなんとかできないだろうかという違和感も強い。

 さらにこの後、パピと同じ視点で話すため
 スモールライトを使って小さくなるという展開になる。
 無粋な突っ込みだが
 せめて小さい敵が追いかけてきていると分かったあとくらい
 ビッグライトでパピを大きくすればよかったんじゃ?

 もっと言えばなぜ敵と戦うと決めたとき、
 ドラえもんの道具でなくスネ夫のプラモを使うのか。
 どうして小さくなったまま戦おうとするのか。
 しずかママは窓の割れた部屋を見てなんとも思わないのか。
 パピの超能力設定は必要だったのか。
 大気圏突入でプラモが壊れる危険をのび太が告げるが
 ドラえもんは「大丈夫だよ」と一蹴。根拠はあったのか。
 子供用映画に細かい突っ込みは不要だが、
 ちりも積もれば引っかかる。

 そんなわけでどうもご都合な空気に首をかしげていると、
 予想通りパピが敵の手に落ち、
 彼を助けに宇宙へ向かい、宇宙戦争が始まる。


 戦車を使っての宇宙船バトルはなかなかの見どころである。
 今回の冒険、敵が「小さい」という分かりやすい弱点があり
 いまいち脅威に感じないせいか、
 異常に用意周到に迫ってくる。(ドラえもんが迂闊というのもあるが)
 爆発した戦艦が膨大な量の発信器を爆散して敵の位置を突き止めるという
 物量作戦を成功させてきたり、
 地下に埋めたはずの戦車を当たり前のように掘り起こしたりして
 弱点をつかむなど、
 歴代の敵陣営でも有数の有能っぷりである。

 その後もドラえもんたちは悉く劣勢を余儀なくされるのだが、
 ラストは急に「スモールライトの効き目がきれる」という
 ものすごいご都合主義で決着がつく。

 まあご都合とはいえこの終わり方はいい。
「スモールライトで小さくなった世界での戦い」という時点で
 このオチは必然であり、すきっとするのだが、
 それまでのピンチがどうにも作り物臭いうえ、
 そもそもスモールライトに時間制限があるという設定すら
 初めて明かされるというのはさすがに微妙である。


 完全にいい子ちゃんキャラなパピはやや印象が薄いが、
 途中から味方に加わるロコロコがなかなかいいキャラをしている。
 おしゃべりな犬。というだけだが、
 物語で一番悲壮感のあるシーンで重要なギャグを入れてくるあたり
 藤子先生らしい。
 またこれが最後の逆転の伏線になっているのが面白い。

 また本作は、大魔境(ジャイアン)、鬼岩城(しずか)に続き、
 スネ夫の活躍が目覚ましい作品となっている。
 パピがさらわれたあとも「帰りたい」。
 宇宙に向かったあともネガティブな発言を続け、
 途中で逃げようとするなど。
 物語に不安を与える役目は残しつつも、
 肝心なところで返ってきて美味しいところをさらっていく。
 ようするにスターウォーズのEP4でいうハンソロのポジである。

 ただのび太は射撃、ジャイアンは腕力、しずかちゃんは機転が利くのだが、
 スネ夫の才能は「ラジコンの操縦」。
 今後のシリーズでもたびたび役立つ能力なのだが、
 残念なことに「道具を使う」という一点で、
 完全なドラえもんの下位互換なのが困りもの。
 また本作でもスネ夫の活躍自体が逆転につながるわけではない。
 という点も含めて、
 本作でのキャラ付けこそが、今後大長編においてスネ夫がたどる、
 悲しい運命の第一歩といえるだろう。


 あと本作の特徴だが、主題歌「少年期」が抜群にいい。
 個人的にも「雲の王国」「日本誕生」の主題歌と並ぶと思うし、
 何かのアンケートではシリーズ1の人気だった気がする。

 のだが、この主題歌、
 よすぎたせいか今回は劇中歌にも使われており……、
 その使用状況がものすごく微妙である。
 のび太たちが地下ゲリラを出会い、パピを救うぞと
 盛り上がったところでかかりだすのだが、
「宇宙人の一人が歌っている」という形でかかる。

 本編の流れからいけば
 これからいよいよ決戦だという場面である。
 そんな盛り上がるべき場面で、
「僕はどうして大人になるんだろう」とか歌いだす男。
 仲間からひんしゅくを買うんじゃないだろうか。

 ちなみにこの劇中歌、その前に
 パピと友情を育むシーンでも前奏が流れている。
 歌もここにいれちゃってよかったのでは?

 個人的にはどうも微妙なところが目立つ作品。
 見どころは最後の最後、ギルモア将軍を追い詰めるのが
 のび太たちでなくその星の人たちだった点だろうか。
 お約束ながら熱くていい。

 あと本作の異色な点として、
 映画版は常に最後は「現地の人たちの別れ」が描かれるのに対し、
 本作では「来週遊びに行こう」と言って終わりになる。
 これは新しい挑戦といっていいだろう。
 エンディング絵で明らかにされる、そうして遊びに行った光景。
 のび太がガリバー状態になっていたり、
 ドラえもんを登頂して喜ぶ現地人など、なかなか面白く、
 初めての子供らしいハッピーエンドとなっている。


 あとキングコングにふんしたドラえもんが暴れるところだろうか。
「まるで何かの映画みたいだな」とメタ発言しているが、
 キングコングなんて当時80年代とはいえ
 子供が知ってたかな?

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