映画感想 ドラえもん のび太の魔界大冒険

≪ネタバレ注意!!≫



 
 劇場版でも特に恐怖。ホラー要素に特化した作品。
 のちにリメイクされたときには
 ホラー要素がほぼ完全に削られていたあたり、
 規制がどうので
 もうこんな怖い子供用映画はできないんだろうか。


 とくに序盤の構成が秀逸。
 のび太の妄想で描かれる「魔法の世界」から始まる物語は、
 分かりやすい冒険感のある導入であると同時に、
「魔法の世界」と聞いて真っ先に思い浮かぶ
 ソード&ソーサリィな世界感が、
 後の本当に魔法の世界になった世界とのギャップを生むための
 伏線になっている。

 OPの入り方も面白い。
 まだ「どらえもーん」ではないのだが、
 のび太の「ちんからホイ」で踊りだすホウキが
 映像的な演出としてOPにいざなう。
 ここら辺の映像表現はできれば小さいころ、
 それも映画のでかいスクリーンで見たかったものだ。
(僕はこれがスクリーンでやってたころ、まだ0歳)


 その後、現実の世界に戻るわけだが、
 掃除からゴミ捨てに行かされる日常の中に、
 突如現れる謎のオーパーツ。
 ドラえもんの石像が現れる。
 あくまでギャグのように出てくる石像だが、
 そこはかとない不気味さが演出されていて気がかりになる。
 この石像の正体は、よく考えればすぐわかるが、
 分かったら分かったでなぜ石になってるか考えると怖い。

 その後は出木杉くんによる魔法解説。
 絵が怖い。
 いや中世錬金術の絵なのだが、ドラえもんの作風と合わなくて怖い。
 そしてのび太の石像が現れ、石像が動く。
 降り出す雨。何か訴えたそうな石像。
 絶妙な不安感をあおられながら、
 もしもボックスによって世界が改変される。
 このシーン、個人的に人生で一番影響を受けた演出である。


 こうして訪れた魔法の世界だが、
 現実世界における科学に概念がひっくり返っただけという
 出木杉くんの説明そのままな世界。
 結局のび太は落ちこぼれであり、あくまでドラえもんの世界の
 延長戦のままである。
「のび太の有能化」が起こらないのは残念だが、
 まだ序盤も序盤だし仕方あるまい。

 こうして一通り魔法世界で遊んでいると、
 やがて満月博士と魔界の存在が出てくる。
 まず満月博士自体が変なオッサンであり、
 庭の警備が妙に怖いし、キレると怖いしで
 藤子A氏の作品に出てくるような怪しさがあるが、
 娘のみよ子さんが美人なので一安心。
 こうして、誰を信じたらいいか、敵は誰なのか分からず
 そこはかとない不安を抱えたまま、
 本格的に魔界との戦争に移る。

 ここまで35分、掴みは完璧である。
 ここからの魔界編はよくよく考えると突っ込みどころ満載で、
 どうも……だが、つかみがいいため充分見せられる。
 どこから出たのか古文書に従い魔界へ向かうメンバー。
 魔界は別の星なため宇宙へ行くことになるが、
 宇宙にでも普通に魔法のじゅうたんで行けてしまう点だけは
 もうちょっとどうにかしてほしかった。
 猫に変えられたみよ子さんが、月の光でだけ呪いの解けるシーンが
 石像の伏線になっているのは本当に上手い。
 いざ魔界につけば、氷の大地という文句なしの死の恐怖。
 歌で誘うセイレーンという実に魔界らしい妖しい恐怖。
 それを歌でジャイアンが歌でぶっ飛ばすというのも
 実にらしい。

 こうしていよいよ魔王の元へたどり着く。
 しかし伝承に従ってもまるで手も足も出ない。
 そこで逃げることになるのだが、みんなつかまってしまう。
 ドラえもんの道具を使えばもっと楽に逃げられると思うのだが、
 石ころ帽子は悪い選択ではあるまい。

 そしてここからが本作の肝。
 すべてをなかったことにしようとタイムマシンで過去に戻るのだが、
 メジューサが追ってくる。
 このメジューサがとにかく怖い。
 見た目も怖いし、
 ぬるっとタイムマシンから這い出してくる動きも怖い。
 何より怖いのはコイツ、このあと一切登場しない。
 倒された描写がないし、
 なんなら過去の世界からもとの時代に戻った描写すらない。
 本編が終わり科学の世界に戻ったあとも
 町のどこかに隠れてそうでほんとに怖い。
 ドラえもんのトラウマシーンナンバー1だと思う。


 そして冒頭のシーンとつながり、はっとさせられる。
 その後のドラミちゃん登場はちょっとメタ的すぎて
 どうかと思うが、
 とにかく、魔王に再度挑むことになるのは熱い。

 今回は明確な「ラスボス」であり、倒す必要があるわけで。
 その役を乱暴者のジャイアンがやっているのは爽快。
 結局ここまでで話は終わってしまっており、
 メジューサが気になるが、
 最後はのび太がほんのちょっとだけ魔法を使ったところで終わりとなる。




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