映画感想 ドラえもん のび太の大魔境

≪ネタバレ注意!!≫ 





 ジュラ紀、他の惑星の次はどこへ行くかと思えば、
 現代の地球上にある未発見の場所となっている。
 別時代。別惑星ときて現代の地球。
 なかなか外連味のきいたチョイスだと思う。


「恐竜」と同じくのび太がペットを拾うことから始まる。
 ただ今回は趣が違うのは、こうして拾ったゲストキャラ『ペコ』が、
 最初から只者でないのを漂わせてるためである。
 野良犬を怯ませる凄み。のび太たちを操る知力。人語まで喋るとあって、
 ペットを拾ったというよりは、
 のび太たちがペコに拾われたという感覚が強い。


 そんなわけでペコに誘導され魔境を目指すのび太たち。
 どうにも手のひらの上で、冒険している感覚が弱い……のだが、
 この「冒険感」はジャイアンが補ってくれる。
 最初から「地球上に開拓されていない場所はない」という、
 子供心になんともつまらない事実を突きつけられ、
 ジャイアンとスネ夫はドラえもんの力を借りて未知の光景を求め冒険に出る。
 この気持ちは男の子なら痛いくらい分かるだろう。
 のび太とドラえもんがペコの手のひらに乗せられている面を、
 ジャイアンとスネ夫の純粋な冒険心が補ってくれる。


 途中から上手くいかずイライラしたり、
 獣に襲われて怯えてしまったり。今回のジャイアンはまさしく
 子供が主役の冒険活劇の主役を務めている。
 前半は彼が主役といってもいいだろう。
 猛獣たちに怯えきってしまうあたりキャラブレと思えなくもないが、
 一番腕白な彼を「冒険活劇」の主役に沿えたのは上手い展開だと思う。

 またこれと並行して、映画版における重要課題。
 ドラえもんのチート封じも起こる。
 ジャイアンがワガママで武器になる道具を置いて行けと命令し
 それに従うという展開。
 その10分前に道具なしじゃ死んでいていたんだから
 本当に武器を全部置いていくドラえもんはどうかと思うが、
 多少のご都合展開は仕方あるまい。
 いざとなればどこでもドアで逃げればいいと思っていたものの、
 なんとそのドアも、ワニに食われるという力技で封印される。


 中盤から後半にかけては雰囲気がガラッと変わる。
 突然えらそうにしゃべりだすペコ。
「ジャングル大帝」的なバックヤードがあったことが明かされ、
 大魔神の力を借りて決戦に挑む。
 正直このあたりは、前半から空気が激変しすぎてて微妙。
 ただ前述の通り不思議道具で武器になるものは置いてきてしまっており、
 ピンチに陥る。

 こうしてやや強引な展開でピンチが訪れ決戦に至るのだが、
 終盤、逆転への展開が熱い。
 慰めてくれたペコに友情を感じたジャイアンが漢気を見せたのをきっかけに
 5人が再度立ち上がり、同時にしずかちゃんが名案を思い付く。
 逆転方法は「ハルヒ」とか「オースティンパワーズ」でもやってたアレである。
 タイムマシンが出てくる作品なら一度はやりたいこのチートプレイ。
 劇場版わずか3作目で登場していたとは。
 さすが藤子先生というべきか。

 こうして事件は解決し、逆転のための後片付けをしようというところで
 映画は終了となる。
 本作からは、「恐竜」「開拓史」であった、
 エンディング直前に数分間入る、
 のび太が今回の冒険を振り返るシーンがなくなって、
「事件は解決しました。ちゃんちゃん」で終了となる。
 この淡泊さはある意味で感動を押しつけない藤子先生リスペクトとも言えるが……。
「恐竜」のラストがよすぎたので、個人的にはあっちの演出も続けて欲しかったなあ。


 前半と後半の空気の違いさえ慣れれば名作といったところか。

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