映画感想 ドラえもん のび太の恐竜

≪ネタバレ注意!!≫ 



 記念すべき第一作。
 まだずいぶんと懐かしい(正直荒い)絵柄で展開される。

 導入部分はドラえもんあるあるの中でもメジャーな、
「ペットを拾ってくるのび太」から開始する。
 こののび太がペットを欲しがる展開は
 本編、長編どちらでも非常に多く
 子供心に、とくに土地のない都会っ子には共感しやすいのではないだろうか。
 また同時に映画という本編とは別枠のくくりであるため、
 最後には必ず「お別れ」が描かれ、
 物語のシメにもちょうどいい。
 大長編ではかなり使い勝手のいいツールとなっている。


 では内容の方はどうかと言えば、
 1作目とあって仕方ない面もあるとはいえ、正直かなり荒い。
 もともと藤子先生は長編が苦手とおっしゃっていたそうだが、
 その弊害がモロに出てしまっている。
 いわゆる「風呂敷を広げ過ぎた」であり、
 終盤がかなり駆け足である。


 前半~半ばにかけてはかなり面白い。
 恐竜の卵を拾うのび太。生き返らせてペットとして飼うことになる。
 だがやがて弊害が……と言った流れ。
 ここら辺は題材が恐竜である必要はなく、
 少年と異質なペットの交流というのどかな光景が続く。

 中盤、ぴー助を日本へ連れて行かなければならなくなる辺りからは
 大長編の本領発揮。ジュラ紀冒険譚として楽しめる。
 また大長編とはいえテンポは早く、退屈せずに見ていられる。
 個人的に藤子F先生は、短編漫画というくくりでは
 漫画界の帝王と言ってもいい方だと思っているが
 その一気にひきつけて一気に作品に連れ込んでいく才能を
 いかんなく発揮している。
 いつか真似てみたいものだ。


 ドラえもんにおけるこうした「冒険譚」最大の敵は
 毎度ドラえもん自身にある。
 公式チートであるため
「安全な冒険」を描くことには不自由しないのだが、
 反面チートすぎて「危険」が描けないのだ。

 その意味で今回は「危険」っぷりがちょうどいい。
 襲ってくる恐竜たちは見た目だけで抜群の迫力があり、
 また問答無用で襲ってくるためスピーディ。
「ドラえもんが来るまで」の危険がある。
 もちろんドラえもんが来ればすぐどうにかなるわけだが、
 言葉が通じないためちょっとでもモタつけば命が危なく、
 ハラハラドキドキさせられる。


 ただ中盤以降の流れがかなり雑なのが残念。
 いきなりピー助を狙う犯罪者が現れたかと思うと、
 特に理由もなくのび太に宣戦布告。
 終盤まで成りをひそめたかと思うと、
 その後一気に襲い掛かってきて一気にドラえもんがやられてしまう。
 そして最後はタイムパトロールが敵をやっつけ、
 しかものび太たちの冒険は、
 同じくタイムパトロールに送ってもらっておしまい。である。

 このタイムパトロール、この後も映画版にはちょくちょく出てくる。
 個人的な感想だが、正直この人たちは微妙だ。
 ドラえもんの世界にドラえもん以上のチートキャラなどいらないのである。
 本作でも、ティラノサウルスを味方につけて
 大暴れするドラえもんとのび太という
 今後の大長編ドラえもんを象徴する「映画でしか見られない豪快な名シーン」があるのに
 この大暴れを無駄にするような介入をしてくる。
 そんなわけで記念すべき第一作の冒険は、
 TPの横やりによってやや尻切れトンボに終わる。


 ただそうして終盤尻すぼみな展開こそあるものの、
 最後の最後でまた前半を思い出させてくれるシーンがあるのが
 本作で一番の名シーン。
 ピー助と涙の別れを済ませたのび太。
 あの冒険が夢だったように日常生活に戻るも、
 ふとピー助と一緒に遊んだバレーボールを見つけ、
 ピー助を思い出しながら眠りにつく。

 のび太にとって今回一番の「冒険」だったのは
 ジュラ紀の世界で恐竜に追いかけられることでも、
 時間犯罪者たちとの対決でもない。
 初めてのペットと育んだ友情である。
 と非常に分かりやすく伝えてくれる。

 ここら辺は藤子先生の原作ではあっさり済ませていたので
 監督の手腕だろうか。
 そう言えばピー助とのび太は、
 ピー助が赤ん坊からとんでもないサイズになるまで一緒にいたわけで。
(のび太が年を取らない点は言いっこなし)
「映画の中だけの仲」と呼ぶには
 ずいぶん私生活を割いていることが思い出される。
 子供のころは分からなかったが、
 大人になってみるとグッとくる名シーンとなっている。


コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © 雨が降っても空を見る All Rights Reserved.